武蔵野の緑溢れる住宅街の中に静かに佇んでいる中村研一記念美術館。
この美術館は、洋画家中村研一さんの作品を彼の死後も守り続けてきた富子夫人が、それらを長く後世ヘ伝えたいと1989年に独力で開館したものです。そのため館内には富子夫人の中村さんへの愛情があふれているように感じられます。
1階の板張りの展示室には、中村さんが描いた油彩画やスケッチがゆったりと展示され、明るく温かな照明の中、落ち着いてじっくりと楽しむことができます。自然をこよなく愛した中村さんだけあり、風景画はとてものびやかに描かれています。またしっかりとした人物の存在を伝える肖像画からは、描かれた人に対する中村さんの思いがあふれているように感じます。
2階に上がると、中村さんの日記や愛蔵品、陶器などを見ることができます。絵を鑑賞するのとはまた違った角度から、中村さんを感じることができるでしょう。
外に出て美術館の裏手にまわると、彼がこよなく愛した武蔵野の自然が残る庭園「美術の森」があります。
ドイツの自然保護の方法を展示したこの「美術の森」は、ただ眺めるだけの庭ではなく、緑の守り方も教えてくれます。庭内には、中村さんが好んだ茶室「花侵庵」や、かつて中村さんご夫妻が住んでいた建物をそのまま使った喫茶室もあります。中村さんの作品だけでなく、彼の愛した品々や庭園を見ることで、ぐっと中村研一さんに近付いてみてはいかがでしょう。
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