プラド美術館での子どもたち

こんにちは。日山麻奈です。先月スペインのマドリッドに行って来ました。
世界四大美術館のひとつ、プラド美術館へ行こう!というのが旅の目的。そこでもたくさんの学生、
子どもたちを見かけました。そこで、今回はスペインの美術館と子どもたちについてレポートします。

マドリッドとプラド美術館

スペインの首都、マドリッドには代々の国王たちのコレクションを展示している美術館がたくさんあります。
そこにはスペインの画家だけでなく、イタリア、フランドルの画家たちの作品も集められていますが、特にプラド美術館では、ベラスケスや
ルーベンス、ゴヤなど、皆さんもご存知の画家たちの作品を一度に、そして大量に鑑賞できます。

これらスペインの美術館は教育活動にもとても力を入れています。
スペイン国内だけでなく、国外の学校なども積極的に受け入れているので、観光客だけでなくヨーロッパ各地からたくさんの中高生が訪れ
ていました。例えばある作品の前には高校生らしい10人くらいの若者たちが集まって、ある1人の生徒の説明を聞いていました。事前に調
べたことを友達の前で発表していたようですが、質問に答えたり、先生に補足してもらったりと、15分くらい話は続いていました。

そして忘れられないのは,プラド美術館で見たよちよち歩きの子どもたち!
まだ足元もおぼつかない3歳くらいの子どもたちが、ピンク色のロープにつかまって先生たちと一緒にベラスケスやルーベンスの作品の間を
歩いているのです。これには美術館を訪れていたたくさんの観光客たちもびっくりしたようですが、目を細めてその光景を見守っていました。

それからピカソが描いた《ゲルニカ》のあるソフィア王妃芸術センターでは、ミロの絵を
見て目をきらきらさせている女の子に出会いました。
それは白いカンバスに黒いニョロニョロの線と3つの赤い点々のある絵だったのですが、
それを見た5歳くらいのこの女の子は、一目散にこの絵のところに駆けて来て、本当に嬉し
そうに、自分の持っていた小さなノートに同じように黒いにょろにょろと3つの赤い点々を
かきこんだのです。この絵がとても気に入ったの!というのが彼女のからだ中から伝わって
きました。

こうしたちょっとして外からの刺激で、子どもたちは自分の中にあるたくさんの可能性を無
意識にではあるけれど目覚めさせていける、ということをあらためて気づかされました。き
っと子供たちにはそれが誰の絵で、どんな物語が描かれているか、なんてことは知らないで
しょう。
でもこうして何度も美術館を訪れることで、美術は子供たちにより身近な存在になります。
それは小さな水たまりにぷうぅっと息を吹きかけたときに生まれる波紋のように、ゆっくりと、
でも確実に彼らの小さな心に影響を与えていくと思います。
彼らの中から、絵を見るのが大好きな子、絵を描いたり、物を作るのが大好きな子、がたくさ
ん生まれたら、なんて考えただけでわくわくしてしまいます。

子どもたちの「大好きなもの」が一つでも増えたらそれは素敵なことですよね。

フランス編『ヴェルサイユ宮殿からのレポート』